祥恵ー。
どうしたの?
お母さんから1学期の通信簿見せてもらったぞ。
あー、そのこと。
随分とひどい成績だな。
でも、一応は合格点内ではあるよ。
お前さ、医者になってパパの歯科医院を継ぐんじゃなかったのか。
まあ、そうね。
この成績では、さすがに医大にすら入学できないぞ。
私まだ小等部なんだけど、中等部にいったらもっと頑張るよ。
中等部いったら頑張るって何を頑張るつもりなの?
え?だから勉強を。
中等部入ったらバスケ部に入るんだとか言ってなかった?
それは、ただの部活動じゃん。
部活は部活、勉強は勉強として頑張るんだって。
お母さん思うんだけどさ、この成績って放課後にいつもいつもサッカーばかりしていたからじゃないのかしらね。
そんなことはないよ。
そうかしらね。
お母さんではないけど、お父さんも祥恵は少し遊んでばかりで勉強ぜんぜんしていないように見えるぞ。
そうでもないよ。
夏休みの時間は遊んでばかりじゃなくて、勉強する時間もしっかり決めてやろうな。
うん。
ね、祥恵。ゆみのこと知ってる?
何を?
あなたが放課後、サッカーをやっている間、ずっと図書室で一緒に帰るのを待っていたのよ。
うん、知っているよ。私がそう言ったのだもの。
そう。
あの子、体育だって見学で体も強くないでしょう。だから日差しで待たせると倒れちゃうかもしれないじゃん。だから、クーラーの効いた図書室にいなさいって。
それはお姉さんとしては良いんだけどな。
あの子、明星学園に入学した時はニューヨークから帰ってきたばかりで日本語の本なんて全く読めなかったのよ。
そうね。
図書室で借りた本をいっぱい読んで勉強して、1学期だけでこれだけ漢字がいっぱい書かれた小説までも読めるようになったのよ。
すごいじゃん。
感心してる場合じゃないわよ。 ゆみの通信簿見てみなさいよ。
え、満点じゃないの!
たった3ヶ月間でこれだけ上がる妹の、姉が6年生にもなってどうしてこんな悪い成績なのかしらね。
だから、来学期はもっと頑張るよ。
この成績で見比べると、お前よりも妹のゆみの方が医大に入学できるんじゃないのか。
私も出来るだけ頑張るよ。
