ゆみちゃんが初めて所有したヨットって、お母さんの知り合いからもらったヨットだったのね。
そう。お母さんとそのヨットへ乗りに行ったら、そのヨットの元オーナーが小さな愛犬と一緒に乗っていたんですって。
そのワンちゃんってライジャケ付けちゃって可愛かったのよ。
その頂いたヨットに、どのぐらい乗っていたんだっけ?
半年ぐらいかな。
どうして半年で手放してしまったの?
浦安マリーナで、次に乗ることになったヨットと出会ってしまったから。
そのヨットの方が、ゆみちゃんにとっては好きなヨットだったんだ?
うーん、そうじゃないかな。
どちらかと言うと、最初のヨットの方が私は好きだった。
そうなの?
最初のヨットは、19フィートで可愛くて、雰囲気も帆船っぽくて本当に素敵なヨットだったのよ。さらに見た目だけじゃなくてセイリング性能もとても良いヨットだったの。
幅広の安定感のあるデッキと小さめのロングキールとセンターボードで荒天の海でも安心して走ってくれるのよ。
それなのに手放してしまったの?
理由は、まなみのせいみたいよ。
え、私?
前に、まなみとフランスから日本への世界巡航は地球半周って話をしたことあったじゃない。
ああ、祥恵が残り半周はセカンドライフで旦那と一緒に周って来るかなって答えたやつ。
そうそう!
旦那とヒューヒューだね。
私のことは良いから。その話を聞いて、ゆみは旦那との残り半周の世界巡航に自分のヨットでついて行くつもりだったみたいなのよ。
だって、お姉ちゃんとまた旅したいじゃないの。
私もそれ聞いて、2杯のヨットでランデブーも良いかなとは思った。
確かに楽しいかもね。
ゆみの頭の中にも、そのイメージがあったみたいでさ。
さすがに19フィートの小さいヨットじゃ、お姉ちゃんの大きなカタマランの後は追いかけられないかなって思ったの。
それで、ゆみちゃんは半年でヨットを買い換えたの?
うん。
へえ、どんなヨットに買い換えることにしたの?
あのね、19フィートのヨットの船底を塗り直すために浦安のマリーナへクルージングしたの。
船橋から浦安へ。
そう。浦安のマリーナではクレーンでヨットを上架したの。
そこで船底のペンキを塗り直したのね。
うん。
うまく塗れた?
塗るのはね。
絵描きさんだものね。
でも、塗る前に古いペンキを剥がすのが大変だった。
それで…
塗り終わったペンキを乾かしている間、マリーナの人とお話をしていたんだけど。
お話をしていたんだ。
その話の中で、マリーナの人に今売り出し中のヨットがあるんだって言われたらしいの。
うわっ!そいつったら私みたいなやつだね。
そうだね。まるで海外バイヤーに中古車売る時のまなみだね。
確かに私だ。
そのヨットは5万円で売っても良いって言われたそうよ。
やばっ。
なんか旦那さんが亡くなってしまったんだってさ。
売りに出しているヨットのオーナーさん?
うん。それで奥さんがヨットの処分に困っていたみたい。
カタリナ250って古いアメリカ製のヨットだったんだけど、19フィートのヨットよりもキャビンが広くてトイレも台所もちゃんと付いているのよ。

だから安く出していたんだ。
それで、マリーナの人が今の19フィートならば100万で売れるよって。100万で売って5万で買わないかって提案されたの。
ゆみちゃんは何て答えたの?
お姉ちゃんとももう1回世界巡航へも行きたかったし、もう少し大きなキャビンのヨットにもしたかったから、もし売れたら買いたいって答えたの。
それで?
お得意のWEBデザインで19フィートの小さなヨットの販売ページを作成したの。
さすが、WEBデザイナーだ!
そしたら、そのヨットを気に入ってくれた方が問い合わせてくれたの。
へえ!
大阪の方で100万ではなかったんだけど90万で買ってくれたの。
すごい船に詳しい人だったのかな、その人は大阪から自分のクレーン車でやって来ると、船橋の岸壁からヒョイって陸上に上げてトラックに積んで運んで行ってしまったわ。
それってたぶん業者だね。
私もそう思った。
祥恵もそう思ったんだ。中古車輸出業者の社長と営業部長がそう思ったってことは業者で間違いないね。
うん、大阪に運んでお色直ししてから100万以上で売る気よね。
お姉ちゃんも、まなみさんもどうしてそういうこと言うの。
ごめんごめん、でもそれが現実だから。
それでどうしたの?
乗るヨットが無くなってしまったし、浦安のヨットを船橋までクルージングしたよ。
90で売って5万で買えたらお得だったね。
まなみさん、そういうこと言わないで。
売却した金額で、浦安のマリーナに旦那さん亡くなってからほぼ放ったらかしにされていた古いヨットを安価で購入できました。
ほったらかしにされていたヨットだけに、あっちこっち薄汚れていたの。
そうでしょうね。
だから、毎週のように船橋のマリーナへ通って、きれいにお色直ししたのよ。
色々な可愛い系の雑貨を購入していたものね。
うん!ピンクのインテリアでとても可愛らしく女の子らしいキャビンに仕上がったのよ。マリーナステイしていても、とても快適な空間に変身できました!
それで儲かった85万は?
お母さんが大切に貯金してくれている。
そこから、木製マストを折ったゆみのわらしべ長者物語がスタートするのよね。
