ゆみちゃーん!
あ、お母さん。
舫い結び?
うん。船が来週来る時までどこかに流されないように。
あら、本当だ!この前、逗子でワンちゃんと乗ったヨットじゃないの。
うん。
本当に逗子から千葉まで、ゆみちゃん1人で持って来れたじゃない!
ゆみちゃん、すごいわよ。
うん。ぜんぜん怖くなくて楽しかったよ。
それは良かったわ。
お母さん、車で来たの?
ええ。さあ、お家に車で帰りましょう!
うん。お母さんちょっと待ってて、トイレに行って来る。
トイレは、そこの前に在る建物よ!
うん、知ってる!
ゆみ、トイレ終わった?
うん。
じゃ、帰りましょうか。
うん、お母さん誰と話していたの?
ああ。あのおじさんもここに自分のヨットを置いている人みたいよ。
そうなんだ。
ゆみのことを褒めていたわよ。
え、どうして?
ヨットが上手だって。
え、なんで私が上手だってわかるの?
今日は波が割と高くて風も強いからって、あのおじさんは自分のヨットを出すのやめて、隣に置いているボートの人に一緒に乗せてもらったんですって。
そうなんだ。
それでボートの上から沖を走って来るゆみのヨットを眺めていたみたいよ。
え、そうなの?
あの波と風の中をゆみのヨットはブローチングしてかっ飛んでいたって。
そうかな?
あの風と波を上手に受けて快調に走っていたってさ。
へえ。
あの風の中を女の子が1人で乗っていたからびっくりしたってさ。
確かにレインボーブリッジの辺りから急に吹いてきてはいたけど。
怖くはなかった?
ぜんぜん怖くはなかった。
大学のヨット部の時、すごい風が吹いている時に真理子先輩と乗ってヨットレースをしていたのを思い出してけっこう楽しかったよ。優勝したレースだったし。
それならば良かったけど。
あ、私の車じゃん!
そうよ。
え、お母さんって私の車を運転して来たの?
他に運転して来れる車が無いじゃないの。
お父さんの車で来るのかと思っていた。
お父さんのあんなデカいジープなんか運転できません。
そうなの?
はい、鍵。
え?私が運転して帰るの?
だって、この赤い小ベンツはゆみちゃんの車でしょう。
まあ、そうだけど。
はい。それじゃ帰りましょう!
お腹すいたー!
帰ったら、今夜はハンバーグあるわよ。
うわ、お母さんのハンバーグ楽しみっ!
