すごい、海がきれい!
地中海よ。
ここが地中海なんだ。
ここが私たちのクルージングの出発地になるのよ。
ここから世界へ巡航するのね。
すぐそこ、あそこが造船所。その先にレンタカー屋さんあるでしょう。私は、車を返してから行くから、ゆみはそこで先に降りていて。
え、嫌だ。お姉ちゃんと一緒に行く。
そしたら、レンタカー屋から造船所まで歩かなければならなくなるよ。
うん、大丈夫。
しょうがない子ね。
祥恵の運転する車は、造船所を越えるとレンタカー屋の駐車場に入った。
ゆみ、車でちょっと待ってて。キーを返してくるから。
うん。
サンキュー、ボンジュール。
チュッス。
え、あんたって英語以外にドイツ語も話せるの?
うん、だって医大生だったんだよ。
ああ、美大に転入する前の2年間だけ医大に通っていたんだったね。
さあ、造船所まで10分ぐらいだけど歩くよ。
はーい。
車が危ないから、私の手を握っていなさい。
あの先の、あれが造船所なの?
そうよ。
どんどん近づいて行く度に、なんかすごくない?
え?そうね、大きな造船所よね。
なんか、どのヨットも横に大きくてデブで、お相撲さんみたい。
デブじゃなくてカタマラン艇よ。
ここは、カタマランを多く造っている造船所だからね。
電車の中に、牧田のおばちゃんがいっぱいいるみたい。
ゆみ、ちょっと失礼よww。
確かに、牧田おばちゃんはすごく太っているかもしれないけどね。
うちのヨットはどこ?
ボンジュール!
造船所のスタッフに手を振り、祥恵は小さな鍵を手に戻ってきた。
ゆみ、船の鍵をもらってきたよ!
ヨット、どこにあるの?
ほら、こっちよ。
え、まだ海に浮かんでいないんだ。
うん、これから私たちが海に浮かべるんじゃないの!
そうか。
その前に、船内に入って荷物とか整理しなきゃならないけどね。
