特筆すべきなのは、この国立大でゆみは初めてヨットに乗ったのよね。
そうなんだ、いよいよゆみちゃんがヨットデビューか。
お姉ちゃんに同じ代ゼミへ通ったらだめって言われたでしょう。
そうね、当たり前だけどね。
その反発心もあったのかも。
ゆみちゃんの口から反発心って…
ゆみって中等部、高等部はずっと体育も見学、スポーツからは縁遠かったじゃない。
うん。
お医者さんには大学へ行ったら部活はやっても良いって言ってもらえていたの。
だいぶ体も強くなってきたからねって。
そうだったんですね。
入学式の新歓案内でヨット部を見つけて入部することになったの。
お父さんやお姉ちゃんがやってる同じ趣味だものね。
うん。
それで同じヨットへ乗れるようになったんだ。
ね、医学部って解剖の授業もあるのよ。
それはあるだろうね。
解剖の授業でゆみって解剖した後のカエルを縫合してちゃんと生き返らせたんですって。
へえ、ゆみちゃん優しい!
そんなこと普通の生徒は誰もしないのよ。
それはそうだろうね。
それをゆみは先生に何て言われようがずっと繰り返していたの。
優しいじゃない。
それが絶対に生き返らせられない解剖の授業があって…
そうか。
それが医大を辞めた理由。
かわいそうで嫌よねって、それよりも大好きなお絵描きで大好きな動物たちをいっぱい描ける学校が良いんじゃないのってお母さんも賛成したの。
それで医大から美大へ転入したんだ。
せっかく医大へ入れたのにね。
でも、ゆみちゃんらしいよ。美大の方がゆみちゃんに合っているよ。
美奈ちゃんとまりちゃんの掛かりつけの先生のところでバイトしていたんだけど、そこの先生にもその方が良いって言ってもらえたの。
美奈ちゃんとまりちゃんってうちにいた猫ね。
そうなのね。
それで美大へ入って、バイトも近所の動物病院からデザイン事務所へ変更したのよね。
うん。
大学だけじゃなくバイトもしていたんだ、偉いじゃないの。
週1ぐらいだけどね。
そのバイト先で広告のデザインだけじゃなくWEBのデザインも教えてもらって出来るようになれたの。
その経験が活かされたみたいで卒業後は横浜の貿易会社にWEBデザイナーとして採用されたみたいよ。
それで、そこで私と出会ったのか。

