第10話・快適なコクピット

キャビンの中に入っていた荷物を整理して、クッションを整えてみると、クッションの数がソファの数に対してなんだか多い。それぞれのソファに当てはめていってみると、ビニール製のクッションで防水加工のクッションっぽい。キャビンから出して、コクピットのベンチにも当てはめて並べていってみると、ソファの数とクッションの数がぴったり当てはまりました。
コクピットには、大きなビミニトップの屋根がついているし、コクピットのベンチに全てのクッションを並べてみると、チークデッキを付けようと考えていたけど、そんなのいらないぐらいにめちゃ快適なコクピットに変身しました。

第9話・ベッドメイキング

さっそく来る前に立ち寄ってきたニトリで購入したベッドパッドとベッドシーツを、プリンセスベッドのマットレスに取り付けます。毛布はまだ暑くていらないけど、タオルケットぐらいは1枚一緒に買ってこようかどうしようか迷ったけど、サイズが合わないかもしれないし、前のヨットで使っていたピンクのマイメロ毛布もあるし、今回は小さな枕1つだけ一緒に購入してきました。
小さなヨットのキャビンに、大きなプリンセスベッドが1つデンと鎮座してしまっているので、キャビンの中はもうそれだけでほとんどいっぱいです。

第8話・プリンセスベッド

今夜は初めてのマリーナステイ、新しいヨットでのお泊まりです。
ヨットは小さいんだけど、大きなヨットにも負けないぐらい大きなプリンセスベッドがキャビン入って正面に鎮座しています。
大きなヨットでは、よく見かけるプリンセスベッドだけど、こんな小さなヨットのキャビンに付いているのはとても珍しいです。
このプリンセスベッドこそ、このヨットのゆみのお気に入りの一つでした。

第7話・深浦ボートパーク

プリンセストレーディングで自動車の輸出をしているゆみは、追浜工場も潰れなくて済むかもなんて考えながら、深浦ボートパークの港内に入港しました。
前のヨットはロングキールで後進がうまく進まないヨットで、処女航海のときもバースに入港するのとても苦労しました。その記憶が残っていて、うまく入港できるかなと不安だったのですが、さんざん前のヨットで出入港の練習をしていたおかげか、ヨットも小さいし、すんなりと入ってしまいました。
バースがでかくて、このヨットにはぶかぶか、もやいロープの長さを調整して、なんとか収まりましたが、それでもぶかぶかです。

第6話・処女航海の終盤

「はいはい、すぐに移動しますよ」
再び、エンジンをカメさんモードからウサギさんモードに変えて、一直線で深浦ボートパークを目指します。入港してきた自動車専用船は、ヨーロッパとかオセアニアによく輸出している濃紺の船体のNYKでした。船体の中身は、まだ空っぽのようで海面から大きく浮き上がっています。
「これから、ここで積んで輸出するのね」
追浜工場は潰れちゃうかもしれないから、いっぱい自動車を積んで出航したら、行った先の外国でいっぱい車が売れるといいなと考えながら操船していました。

第5話・自動車専用船

「ここまで来たら、もう安心」
1回エンジンの速度をカメさんモードに変更すると、船尾に付いていたビミニトップのカバーを外して、縛ってあったロープを解いて広げます。
ヨットのコクピットに日陰ができてめちゃ快適です。
もっと早くに、出航する前に広げておけばよかった。横浜ベイサイドマリーナからここまで来るまでの間で、私の肌もうすっかりまっ黒くろすけじゃん。ビミニトップでできた日陰で寛いでいると、追浜工場に入港してくる大きな自動車専用船の姿。
「ブオオオオオー!」

第4話・日産追浜工場

「このエンジン、このヨットには少し大きすぎるんじゃないかな」
船の後ろを振り向くと、そう思えてしまうぐらいに速いスピードで引き波がたっています。住友重工のクレーンの前に停まっていた大型タンカーの真横をすり抜けると、もう深浦ボートパークは目の前です。もうじき無くなってしまうかもしれない日産の追浜工場や小泉孝太郎がパパと住んでいた大きなゴミのお屋敷も見えてきます。猿島へ向かう観光船が横須賀の観光案内をしながら走っています。

第3話・横須賀の住友クレーン

「レバーを回して、スピードを上げましょう」
そう教わって、仕方なくカメさんモードからウサギさんモードにレバーを変えます。おっかなびっくりのウサギさんモードで横浜ベイサイドマリーナの港内を出港します。
あんなにおっかなびっくりだったウサギさんモードも、八景島のタワーの先に見えている住友重工の造船所クレーンが近寄ってくると、あともう少しあともう少し、あのクレーンを越えれば目的地の深浦ボートパークに到着できると、ガンガンとエンジンを飛ばします。

第2話・小さいエンジン大きいエンジン

エンジンは使い終わったら、ガソリンタンク上部のキャップを必ず閉めて保管してくださいと教えてもらいました。そうしないと、キャップから雨水とかが入ってしまって、ガソリンに混じってしまい、エンジンが掛からなくなってしまうそうです。
お姉ちゃんのヨットとかに付いている船内機のエンジンに比べると、小さなエンジンのくせに音がうるさいです。音がうるさくて恐いので、エンジンレバーに付いているカメさんモードで走ります。

第1話・プリンセスゆみの処女航海

プリンセスゆみの処女航海は、横浜市金沢区白帆に在る横浜ベイサイドマリーナから金沢区のすぐお隣、横須賀市の深浦ボートパークまでのたった2時間の超短距離航海でした。
エンジンは6馬力の船外機。バッテリーもセルモーターも何も付いていない小さな船外機でした。ガソリンタンクの上部に付いているキャップを少し緩めてから、エンジンに付いているヒモを思い切り引っ張ってエンジンを始動します。

プロローグ

祥恵お姉ちゃんは、プリンセストレーディングの社長さん。
社長さんだから、40フィートの大きなカタマランヨットを所有しています。でも、ゆみは妹だし、しがないウェブデザイナー、美大卒の貧乏画家だからそんな大きなヨットは所有できません。
目次
第1話・プリンセスゆみの処女航海
第2話・小さいエンジン大きいエンジン