「なんか面倒くさいな」
ゆみは、プロフォーマインボイスに車の金額とドイツまでの船賃、輸送料を記載してから、送金先である会社の銀行口座をスイフトコード付きで記載した。
「もう少し簡単に作成できたら良いのにな」
ゆみは、この時のプロフォーマインボイスが、クラウド上で金額とかを記載するだけで作成できたら便利なのにと思っていたので、CheapVehicleLandでは、クラウド上で作成できるプロフォーマインボイスを開発、導入したのでした。
中古車輸出・第39話
「見積書?」
シャランは、スリランカ人なので時々わからない日本語もあった。何か物を買う時に、いくらかわからないから営業の人に金額を教えてと聞くと、作ってもらえる書類とゆみが説明した。
「うーん、見積書で良いのかな?」
「正確には、プロフォーマインボイスと見積書は違うものだけど、まあ、そんなようなものだ」
シャランが返事に困っていると、奥の席から部長が教えてくれた。
ゆみは、シャランからプロフォーマインボイスのテンプレートファイルをもらって、ドイツの海外バイヤー用のものを作成した。
中古車輸出・第38話
「シャラン、プロフォーマインボイスってなに?」
ゆみは、シャランに質問した。ドイツの海外バイヤーが車を教えてくれてありがとう、良い車が日本市場にもあるので発注したいから、プロフォーマインボイスを送ってくれと返事して来たのだった。
「正式なインボイスの前に送る予備のインボイスのことよ」
「予備のインボイス?」
「それの価格とかを確認して注文しようか決めるの」
「見積書みたいなものね」
「見積書?」
今度は、シャランがゆみに質問した。
中古車輸出・第37話
「ゆみ、お返事ありがとう」
ゆみは、ドイツの海外バイヤーさんからのメール内容を確認した。80年代ぐらいの古いベンツやポルシェの車がほしいのだけど、そちらの市場にあるだろうか。もしあるのならば、まずはポルシェで取引を始めたいという内容だった。
ゆみは、早速中古車オークション会場のサイトにログインすると、ポルシェの車を検索してみた。それなりに、けっこう日本の市場にもポルシェの車ってたくさんあるじゃないの。見つけた車を何台かドイツの海外バイヤーさん宛にメールで教えてあげた。
中古車輸出・第36話
「ドイツからポルシェ欲しいって日本に言わないよ」
シャランは、ゆみに言った。
「そうなのかな?」
でも、いつもお返事はアフリカとかの人ばかりだったから、ゆみとしては、なんかヨーロッパの人と話してみたくなった。そして、ドイツの海外バイヤーさんにお返事を書いてみたのだった。
「ゆみ、お返事ありがとう」
次の日、ドイツの海外バイヤーさんからゆみ宛にお返事が返ってきていた。
中古車輸出・第35話
そして、社長の予想通り、ゆみの初注文が取れる日は近かった。
「え、ポルシェが欲しいってヨーロッパの海外バイヤーさん」
ゆみは、その日のオファーメールの内容を確認していて思った。いつも、オファーメールはアフリカや中東アジア、カリブ諸島など南米から来るものが多かった。
「ドイツ、ヨーロッパから来るオファーメールなんて初めて見た」
「そんなの無視しておきなよ」
シャランは、ゆみにアドバイスした。
「どうして?」
「だってポルシェってドイツ製の車だよ」
中古車輸出・第34話
「でも、換金できるかもしれないし手続きしてみるか」
社長は、ゆみに聞いた。
「え、やっぱ辞めておく」
「換金できるかの手続きぐらいしてみても良いぞ」
社長に言ってもらえたが、ゆみは断った。
「頑張ってもっとちゃんとした海外バイヤーから注文もらう」
「そうか、それならばそうしてみなさい」
社長は、ゆみに言った。
「今井なら、後もう少しできっと車の注文取れるさ」
中古車輸出・第33話
「詐欺だとは思うけどな」
社長は、ゆみに言った。
「この書き留めも?」
「ああ、偽物の書き留めだろう、恐らく換金もできない」
そうなのね、ゆみは手紙を自分のデスクのゴミ箱に捨てた。
「万が一、換金できるかもしれないから換金手続きしてみるか」
「換金できたらトラック200台仕入れて輸出するの?」
「うまく200台仕入れられたとしても、犯罪に使われる車に貢献することになるかもしれない」
社長は、ゆみに警告した。
中古車輸出・第32話
今井ゆみは、社長から会社に届いた手紙を手渡された。
「え、何これ」
ゆみは、社長から手渡された手紙の封筒を開けると、中身を確認した。丁寧なメールをありがとうと書かれていて、日野レンジャーのトラックを200台順番に送ってほしいと記載されており、手紙と一緒に途轍もない金額が記載された書き留めが同封されていた。
「確かに、私がイランからのオファーメールに返信したけど、全く何も返事をもらえなかったから駄目だったんだなと思って忘れていたんだけど」
中古車輸出・第31話
「なかなか車の注文取れないな」
月末の売上げ報告会議の時、今井ゆみは社長に言われてしまった。このままでは、本当にうちの会社のサイトから来るオファーメールはいたずらやスパムメールばかりってことになってしまうなと冗談交じりに社長はゆみに言った。
「来月こそ絶対1台は車の注文取ります!」
「よし、頑張れ」
ゆみは、悔しくて思わず報告会議で社長に宣言してしまっていた。
中古車輸出・第30話
今井ゆみは、イランの海外バイヤーにはけっこう丁寧に自己紹介も入れて返信してあげていたつもりだったのだが、なぜか何も返事をもらえなかった。
「トラックの大量注文だものね」
さすがに大型注文だったし、中古車輸出業の素人営業担当じゃ相手にもされなかったか。その後も毎日のように、営業担当者たちに振り分けるだけでなく、自分でも届いたオファーメール宛に返信し続けて、お返事が返ってくると、その海外バイヤーにはさらに返信を書いて、メールのやり取りを続けてはいたのだが、いずれも車の受注までには届かなかった。
中古車輸出・第29話
今井ゆみは、中古車オークション会場にログインすると今度は「日野レンジャー」で検索してみる。中古車オークション会場の使い方にもだいぶ慣れてきていた。日野レンジャーの落札相場も確認し、古いものから新しいものまで豊富に揃っていることも確認できた。
「うん、いいトラックいっぱいある」
今井ゆみは、イランの海外バイヤーにそのことを伝えてあげた。2015年ぐらいのものからいくらでも揃っているから送ってあげられるよ。
中古車輸出・第28話
アフリカの海外バイヤーで、ハイルーフのハイエースコミューターがほしいと望んでくるバイヤーは、大概そのバスを使ってタクシー、乗り合いバスを始めたいという人が多いようだ。
今井ゆみは、タンザニアの海外バイヤーとはそんな会話を長々といろいろお喋りを続けて、けっこう感触は良い感じだったのだが、車の受注に至るまでにはいかずメールは途切れてしまった。
「残り1件はイランの人か」
今井ゆみは、イランから届いたオファーメールの内容を確認した。建設会社と取引している人なのだろうjか、日野自動車の日野レンジャーというトラックを現場で大量に必要としているという依頼だった。
中古車輸出・第27話
ハイエースには何種類か種類があって、普通に後部座席があるもの、後部が全て荷物入れになっているもの、車椅子などが乗れるようになっているもの、座席数が18人分あるバスタイプのものがある。
特にアフリカでは、この18人分の座席があるハイエースコミューターというものが人気がある。よく田舎で見かける路線バスより車体の小さいコミュニティーバスのことだ。特に天井が高く盛り上がっているハイルーフというタイプのものが好まれる。海外バイヤーからハイエースと言われたら、ハイルーフのハイエースコミューターで探すと話が早い。
中古車輸出・第26話
「このハイエースは18人乗れるのか」
今井ゆみが返答すると、タンザニアの海外バイヤーからさらに質問がきた。確かに後部は広い荷物入れになっているけど18人も乗れるのかな、乗れても椅子がないから乗るの大変じゃないかな。
「シャラン、ここに18人も乗れる?」
今井ゆみは、シャランに自分が海外バイヤーに送った写真を見せながら聞いた。そんなところに人が乗れるわけないじゃないの、18人乗れるハイエースはハイエースコミューターっていうハイエースよ。
中古車輸出・第25話
「タンザニアさんは車の注文ちょうだいね」
今井ゆみは、前にパキスタンからのオファーメールの時に、シャランに聞いた返信の書き方を思い出しながら、自分のこと、会社の自己紹介から順番に返信文を書いていた。
「今度の車はハイエースか」
今井ゆみは、また中古車オークション会場のサイトにログインすると、ハイエースの落札相場を確認した。ハイエースってすごく高い車からけっこう安い車までいろいろあるのね。前回は、パキスタンの人に安く安く言われて、お返事ももらえなくなってしまったし、高くない方のハイエースで話を進めた方がいいわよね。
中古車輸出・第24話
今井ゆみに返事をくれた残りの2人、1人はタンザニアの海外バイヤーだった。タンザニアは、アフリカ大陸の右下辺りにある国だ。アフリカの国は、日本から世界へ輸出されている中古車の国の中で最もポピュラーな国の一つだった。
「この国ならば、楽勝で受注できるわよね」
タンザニアやケニアなどアフリカの国々は、月末にいつも開催されている売上げ報告会議でも、シャランを始め、どの営業担当者も必ずといって良いぐらい輸出先として報告されている国だった。この国ならば、さすがにウェブデザイナーの仕事しかしていない今井ゆみでも車1台ぐらいの注文ならば取れるだろう。
中古車輸出・第23話
「少し高くないか」
今井ゆみが見積もった金額をパキスタンの海外バイヤーに提出すると、パキスタンの海外バイヤーからは返答がきた。そうね、それじゃと今井ゆみは7500円だけ提示した金額より引いて再提出してあげた。うちの会社だっていろいろ経費も掛かっているのだし、これ以上はさすがに無理よと一言つけ加えて返答すると、その先は何も返答が無くなってしまった。
社長は、今井ゆみの方針に納得してくれた。
中古車輸出・第22話
「利益ってどのぐらいなの」
今井ゆみは、シャランたち営業担当者に聞いてみた。利益の出し方は担当者それぞれで全然違っていて、2万か3万ぐらいで安く見積もって数を売って利益を得ていこうというタイプ、営業経費などを考慮して5万ぐらい、10万ぐらいと強気で見積もるタイプとそれぞれ別れていた。
「でも経費とかも掛かるし、8万ぐらいは足しておこうかな」
今井ゆみは、営業担当者皆の意見を参考に考えていた。最初から安く見積もらなくても、商談の中でもう少し安くしてあげないとだめそうな方には多少低く見積もり直してあげるようにしよう。
中古車輸出・第21話
「そうね、80万ぐらいかな」
今井ゆみは、向かいの席のシャランにも聞こえるぐらいの大きさの声で一人言を呟いてみた。
「それに手数料とかもちゃんと足さないとだめよ」
シャランがゆみに言った。中古車オークション会場で落札すると会場の手数料、1・5万ぐらいに輸出手続き料2万ぐらい、会場から近くの港までの陸送料2万ぐらいが掛かる。それに後は自分たちの会社の利益も足さなければいけない。
「5・5と利益を足せばいいかな」
中古車輸出・第20話
「さて、なんてお返事しようかな」
今井ゆみは、受け取ったメールの内容を確認しながら考えていた。
いくらぐらいかと聞いてきているのだから、ノアの値段を教えてあげないといけないわね。今井ゆみは、パソコンで中古車オークション会場のページを開くと、会社のアカウントでログインした。
「トヨタのノア」
中古車オークション会場の検索フォームにトヨタノアと入力して検索する。本日出品されているたくさんのトヨタノアの車が表示された。年式や走行距離などによっても変わってくるが、だいたいの落札時の相場価格なんかも確認できる。
中古車輸出・第19話
「あら、お返事が来てる」
今井ゆみは、今朝新しく届いたばかりのオファーメールをプリントアウトして営業担当者みんなに配り終えると、自分のメールアドレスの内容を確認した。
「トヨタのノアが欲しいと言っていたパキスタンの人ね」
昨日、今井ゆみが書いたお返事の内容に対して、さらに今井ゆみ宛に追加のお返事をくれた海外バイヤーはぜんぶで3人だった。その1人がパキスタンの人で、黒色もしくは白色、シルバー色のノアが欲しい、いくらで出してもらえるのかを聞いてきていた。
中古車輸出・第18話
「ああ、なんか肩が凝った」
今井ゆみは、横浜の会社から東京の自宅へ帰るために、自分の車を運転しながら呟いた。
結局部長に言われて、いろいろと自分で試行錯誤しながらも、それぞれの海外バイヤー宛にそれぞれ文面の内容を変えながら何通も何通も返信することになってしまったのだった。
「私は、オファーメールの海外バイヤーがちゃんとした海外バイヤーかどうかを確認できれば良いだけで、別にずっと車の営業なんかするつもりないんだけどな」
あれからずっと部長が付きっきりだったのだ。
中古車輸出・第17話
「シャランと同じ内容にしたからといって、今井も同じように車の注文が取れるわけじゃないからな」
部長は、今井ゆみに言った。
シャランと一緒の内容でメールしたとしても、今井ゆみが同じように車の注文を取れるわけではない。シャランの文面は、あくまでシャランが車の注文を取れる文面であって、今井ゆみは今井ゆみが車の注文を取れる文面を自分で見つけない限り、いつまでも海外バイヤーから車の注文なんて取れないぞ。
「今井が車の注文を取れる文面は、自分で何度も何度も返信していく中で見つけないとな」
中古車輸出・第16話
「その内容じゃ、ほぼシャランのメールじゃないか」
今井ゆみの席の背後に来て覗き込んでいた部長が、今井ゆみに言った。今の内容ではシャランのメールの内容に、名前だけYumiと書き換えただけだから、文章なんて文法が下手でもどうでも良いからもっと今井らしさを全面に出して、ただし車のプロ意識は持って返事を書きなさい。
「はーい」
メールの内容なんてシャランと同じでも良いと思っていた今井ゆみだったが、結局ぜんぶメールの内容を自分なりの文章で書き直して、返信することになってしまった。
中古車輸出・第15話
「今井、素人っぽい返事の書き方はだめだぞ!」
シャランと今井ゆみの会話を聞いていた部長も、今井ゆみに注意した。
今井がウェブデザイナーだとか、車のことはよくわかっていないなんていうのは向こうには関係ないんだからな。向こうの海外バイヤーはプロの車屋から安心して車を購入したいのだから、今井が素人だと思われたら不安になるだろう。ある程度、知ったかぶりみたいになっても良いから私は車のプロだという自負を持って海外バイヤーには返事を書くようにしなさい!
「はい、わかりました」
今井ゆみは、一番奥の席の部長に返事をしていた。
中古車輸出・第14話
シャランは、3年前ぐらいに、スリランカから日本へ出稼ぎに来ている女性で、去年から今井ゆみと同じ横浜の貿易会社で働き始めていた。今井ゆみより少しだけお姉さんだったが、ほとんど同い年で、女性同士と言うことで仲良くお喋りするようになっていた。
「ゆみちゃん、その書き方は良くないよ」
シャランは、今井ゆみの書いている返事の文章を確認し、私は車のことはよくわからないって書いちゃうと車の素人に見られちゃうから、そこはあくまで車のプロって自信を持って書くようにしなさいとアドバイスした。
中古車輸出・第13話
「うん、どんな風にお返事を書こうかな」
今井ゆみは、オファーメールの内容を読みながら、パソコンの前で悩んでいた。
「最初はサンキュー・フォ・オファーが良いんじゃない」
まずオファーのお礼を軽く書いてから、自分や自分の会社、横浜の貿易会社のことを自己紹介してから、オファーをくれた車種の年式やマイレージ(走行距離)、車の状態などについて説明して、だいたいの相場を伝えるぐらいで最初のお返事は良いと思う。
シャランは、営業担当の先輩として、今井ゆみにメールの書き方を教えてくれた。
中古車輸出・第12話
「シャランちゃん、今日から私もオファーにお返事するの」
今井ゆみは、シャランに話しかけていた。
「それでね、もしお返事が来て、車をほしいってお願いされたら、私じゃどうやって車を仕入れたらいいかわからないし、シャランちゃんに渡すから後はよろしくね」
「うん、注文きたら車は仕入れてあげるよ。お返事が来るといいね」
シャランは、今井ゆみに答えた。
「お返事くるかな」
今井ゆみは、少し不安そうだが、それよりも海外のバイヤーと話ができることにちょっとワクワクしていた。
中古車輸出・第11話
「ね、社長。私も自分でお返事を書いてみてもいいかな」
今井ゆみは、社長に聞いた。もしかしたら本当に、ラオス人の彼が言うように毎日届くオファーメールの海外バイヤーの質が悪いのかもしれない、そうだったら彼に申し訳ない。だから、自分でもオファーメールにお返事を書いてみて、ちゃんとお返事が来るのか、車の注文をしてくれるのか確認してみたいと社長に直談判してみたのだった。
「それは良い、おまえもやってみなさい」
社長は、今井ゆみにそう答えたのだった。さっそく翌日から届いたオファーメールのうち何通かだけは自分の手元に残し、残りをプリントアウトして営業担当者たちに振り分けるようになった。
中古車輸出・第10話
「うちの会社に来るオファーメールは良くないのが多いのか?」
今井ゆみは、社長室に呼ばれて質問された。
「そうなんですか?」
「そういう風に言っている人が営業にいるんだけど・・」
社長にそう聞かれたが、毎日届くオファーメールをプリントアウトすると、そのまま営業担当の人たちに手渡してしまっているだけの今井ゆみには質が悪いのかどうか判断できなかった。
「でも、シャランちゃんはケニアからベンツの注文を取っていたけど」
つい最近、スリランカ人の営業担当がうちに届いたオファーメールをきっかけにケニアの石油会社から受注して、ベンツを何台かケニアに輸出していた。
中古車輸出・第9話
「え、なんでよ!私が悪いの?」
今井ゆみは、ラオス人の彼の言葉にはじめはちょっと悔しくもあったけど、この事がきっかけでホームページのデザインだけしているのではなく、実際に海外バイヤーと交わり、中古車輸出業の根幹である中古車輸出業の実務にまでこだわれるようになれたのは彼に感謝でした。
もし彼が、今井ゆみが集めていたオファーの海外バイヤーの質が悪いと言ってくれなかったら、中古車輸出業の実務のことは何もわからず、お姉ちゃんがプリンセストレーディングを起業してくれた時も、お姉ちゃんに自動車を日本の市場から探し出す方法も、船積み方法や車の輸出手続きを聞かれても、どうやったら良いのかを答えられなかったことだろう。
中古車輸出・第8話
「うちの会社に来るオファーメールの質が悪いかもしれない」
ラオス人の彼は、当社宛てにオファーを出してくる海外バイヤーはそんな真剣に日本から自動車を買う気がなく、なんとなく冗談半分でオファーを出していたり、いたずらやスパム的にオファーを出してきているだけなのではないかと社長に伝えました。
彼のこの言葉がきっかけになって、本来はウェブデザイナーなのだからウェブのデザインだけしていたはずの今井ゆみが、オファーを出してくれた海外バイヤーとも深く関わるようになって、彼らの自動車を日本の市場から探し出し、船積みのブッキングをして車の輸出手続きを行い、彼ら海外バイヤーの国の港へと自動車を届ける中古車輸出業の実務にまで関わるようになったのでした。
中古車輸出・第7話
「そんな返事の書き方では相手から返ってこないに決まってるだろう」
他にも日本の中古車を輸出している人はたくさんいるのだから、その中でおまえから買うと気持ち良く商談が進められると思えたら海外バイヤーは注文してくれるんだぞ。社長は、先月入社したばかりのラオス人の営業スタッフに指導しています。
「車の注文を取るのも大変よね」
今井ゆみは、マグコップのお茶を飲み、キーボードの操作しながら社長室から聞こえてくる2人の声を聞いていました。彼は、国内の販売店で販売員をしていたのに、先月に入社して以来、まだ1件も海外からの注文を取れていませんでした。
中古車輸出・第6話
「どうして商談が進まないんだ?」
今井ゆみが、明日以降の海外バイヤーからのオファーも今日来た海外バイヤーからのオファーのようにたくさん取ろうとホームページを更新していると、社長室内から社長がラオス人の営業スタッフに激を飛ばしている声が聞こえてきます。
「先週のケニアとの商談の話はどうなったんだ?」
彼は、日本の大手中古車販売店で販売員をしていたのですが、どうしても国内でなく世界へ中古車輸出をしてみたいと先月から横浜の貿易会社へ転職してきたのです。
中古車輸出・第5話
今井ゆみは、各営業担当者たちに本日の海外バイヤーからのオファーを配り終えて、マイカップのミルクティーを飲みながら、自分のデスクで少しホッとしていました。
毎日、横浜の貿易会社宛てに届くたくさんの海外バイヤーからのオファーは、それぞれ割り振られた各営業担当者たちと海外バイヤーの間で車の商談が進みます。
今井ゆみは、ウェブデザイナーなので海外バイヤーとの商談には直接関与していません。その日のオファーを振り分け終わると、後は翌日以降のオファーを取るためにサイトの構築、SNS運用などの作業に従事します。
中古車輸出・第4話
今井ゆみは、毎朝出社すると、まずはその日に自動車の海外バイヤーから届いた車のオファーをチェックします。
チェックした車のオファーは全て、会社のプリンターでプリントアウトして、営業のバインダーに挟んで各輸出担当者たちに配ります。
今井ゆみは、国際色豊かなスタッフたちにオファーを振り分けていました。
中古車輸出・第3話
今井ゆみは、入社するとすぐ、まずは海外のお客様がインターネットから日本の中古車を欲しいと会社にオファーしてもらえるようにホームページを作りました。
いろいろな日本に在る魅力的な自動車、中古車を写真付きでホームページにはたくさん掲載しました。さらに、その車の魅力などを各国語の解説付きで紹介しました。当時は英語とフランス語、スペイン語ぐらいで解説すれば十分でしたが、昨今ではもう少し言語の数を増やした方がが良いかもしれません。
中古車輸出・第2話
今井ゆみは、そんな仕事をしている横浜の貿易会社にウェブデザイナーとして就職しました。
中古車輸出業のお客さんは海外にいるため、そんな海外のお客様にうちの会社で車を輸出していますよってことを知ってもらうためにホームページは必須ツールになります。
そのホームページを制作するスタッフとして、今井ゆみは採用されました。
中古車輸出・第1話
車を輸出している会社があります。
世界中には、中古でも良いから日本製の自動車を欲しいという方がたくさんいます。
そんな世界の方々に、日本の中古車を仕入れて、自動車専用船に船積みして、届けてあげるのが「中古車輸出業」になります。
